「信用金庫なんてどこも同じ」
あなたもそう思っていませんか?
多くの経営者は「1番近いから」という理由だけで信用金庫を選んでしまいますが、これは大きな間違いです。

実は、信用金庫選びを間違えると「相談しづらい」・「融資が通りにくい」・「必要な支援が受けられない」という状況になりかねません。
信用金庫は表向きは似ていますが、実際には次のようにカラーが大きく異なります。
- 本業サポートへの熱量
- 融資の取り組み方針
- 担当者のスピード感
- 地域での評判・利用者層
たとえば「A信金はビジネスマッチングが強い」「B信金は融資に積極的」など、どこを選ぶかで結果は大きく変わり、相談のしやすさや、融資の受けやすさ、事業の未来まで変わると言っても過言ではないのです。
この記事では、現役の信用金庫職員だからこそわかる視点で、事業者が本当に失敗しない信用金庫の選びかたを3ステップでまとめました。ぜひ、あなたの事業を支えるパートナー選びの参考にしてみてください。
STEP1:口座開設できる信用金庫を絞り込む


信用金庫を選ぶ際にまず押さえておきたいのは、どの信金でも口座が作れるわけではないという前提です。
そのためSTEP1では、まず取引が検討できる信用金庫を絞り込んでいきます。
信用金庫は取引できるエリアが限られている
信用金庫は地域の中小企業を支えることを目的とした金融機関のため、取引できるエリアが法律で制限されています。
さらに、「同じ市内だから大丈夫」と思っていても油断は禁物です。
営業エリア内であっても、近くに支店がない場合は取引を断られるケースがあります。
- 営業エリア外
- 支店から遠すぎる
- 近くに別の支店がある
実務では営業エリア内であることはもちろん、その支店がしっかりフォローできる距離かどうかが重視されます。
候補になる信用金庫の具体的な選びかた
最もシンプルで確実な方法は地図アプリ(Googleマップ)での絞り込みです。
候補になる信用金庫の目安は、
基本:車で15分以内
遠くても:車で25分以内
位置情報をオンにしたうえで「近くの信用金庫」、もしくは「信用金庫+あなたの住所」と検索しましょう。
あとはあなたの事務所から車で15分以内(約5キロ)にある信用金庫をピックアップすればSTEP1はクリアです。



車で30分以上の距離になると、支店の対応は一気に消極的になります。



なぜ遠いとダメなの?
距離の目安を15分~25分以内としているのは、実務で担当者が訪問しやすい範囲だから。
あまり遠いと定期的に訪問するのは難しく、事業の実態把握もできないことから信用金庫は取引を敬遠します。
STEP2:信用金庫を4つのポイントから選ぶ


STEP2ではSTEP1で絞った候補の中から、実際に口座開設をする信用金庫を選びます。
以下の4つのポイントをもとに、あなたに合った信用金庫を選びましょう。
- 本業サポートの積極性
- 融資に対する姿勢
- 店舗の雰囲気
- 地域での評判
特に1と2は「必須項目」、3と4は「できれば確認してほしい+α項目」です。
仕入れや外注先など新たな取引先を選ぶ時も面倒くさいから適当に選ぶようなことはしませんよね。相手先のことをきちんと調べてから契約しますよね。それと同じです。
①本業サポートの手厚さを確認して選ぶ
本業サポートの手厚さは信用金庫ごとに大きく異なります。ホームページだけでは情報が足りないことも多く、できればディスクロージャー(会社案内)もあわせてチェックしましょう。
- ビジネスマッチング
- 大手バイヤーとの商談会
- 経営相談や専門家の紹介
- 補助金や助成金のアドバイス
代表的な本業サポートについて、確認したいポイントを解説します。
ビジネスマッチング
ビジネスマッチングをどのような仕組みで行っているか確認しましょう。独自のポータルサイトを持つ信用金庫がある一方で、担当者任せのアナログな取組みにとどまる信用金庫もあるのが現状です。
大手バイヤーとの商談会
あなたの事業にマッチする業界との商談会を行っているか確認しましょう。建設会社や百貨店など、得意な業界は信用金庫によって異なります。
経営相談や専門家の紹介
経営相談や専門家の紹介で重要なポイントは相談のしやすさです。開催の頻度や、専門部署があるかなどを調べましょう。
補助金や助成金のアドバイス
単なる情報提供だけでなく、具体的な申請サポートまで行っているかが重要です。具体的な取組みについて記載があるかチェックしてみてください。
②融資に積極的な信用金庫を選ぶ
融資に対する姿勢は主に以下の3点で判断します。
- 預貸率
- 中小企業向け融資金額
- 中小企業向け貸出先数
上記ポイントは金融庁の業態別(全国)の中小・地域金融機関情報一覧で確認できます。


預貸率
預貸率は集めた預金をどれだけ融資しているかがわかる指標で、信用金庫全体の平均は50%程度。
(貸出金÷預金積金)×100 で算出され、高ければ融資に積極的であると推察できます。
中小企業向け融資金額
中小企業向けの融資金額が多ければ、多くの資金を融資していることが分かります。
中小企業向け貸出先数
中小企業向け貸出先数が多ければ、中小企業との取引にも積極的です。
③店舗の雰囲気を見て選ぶ
信用金庫によって雰囲気やカルチャーはまったく違います。
- 活気がある
- 職員が挨拶してくれる
- 店舗が明るい
- 相談しやすい雰囲気か
- 定期的に通いやすい立地か
こうしたポイントを見れば、「事業者とどんな距離感で向き合っているか」がわかります。
これから長く関わっていく存在だからこそ、合いそうかどうかを現場で確かめることをおすすめします。



用事がないと入りづらいと思うので、カーローンのパンフレットを探している人になりましょう!
④地域での評判を聞いてみる
実際に使っている人の声は、何よりも信頼できます。
- 「あそこは担当者の動きが速い」
- 「融資は慎重だけど、相談には乗ってくれる」
- 「地元の有名企業はみんな付き合っている」
取引先の社長や同業者、税理士などの第三者に「◯◯信用金庫ってどう?」と聞くだけで、意外なリアルが手に入ります。
STEP2.5:信用金庫の選びかたを具体例でおさらい


ここまでの内容をもとに、信用金庫の選びかたを2つの具体例でおさらいします。
東京都で建設業を営んでいるケースの選びかた
| 所在 | 東京都大田区 |
| 業種 | 建設業 |
| 業歴 | 7年目 |
まずグーグルマップで近隣の信用金庫を調べたところ、車で15分圏内に芝信用金庫、城南信用金庫、さわやか信用金庫の3つが候補にあがりました。
| 単位:百万 | 芝信金 | 城南信金 | さわやか信金 |
|---|---|---|---|
| 預金積金 | 1,113,034 | 4,023,797 | 1,544,024 |
| 貸出金 | 584,691 | 2,354,542 | 919,227 |
| 預貸率 | 52.5% | 58.5% | 59.5% |
| 中小企業向け 貸出残高 | 582,894 | 2,335,414 | 901,478 |
| 中小企業向け 貸出先数 | 24,274件 | 56,021件 | 30,463件 |
貸出残高や貸出先数を見る限り、城南信用金庫が頭1つ抜けている印象です。預貸率ではさわやか信金が高く、融資の積極性が伺えます。
次にそれぞれの信用金庫のディスクロージャーを確認し、本業サポートの体制を調べました。


城南信用金庫のディスクロージャー内に商談会情報あり、三井ホーム、長谷工など建設関連の商談会を定期的に行っていることを発見。
本来であればこのあと実際の店舗を見たり、周りの人の声も確認しますが、ここでは融資への積極性や本業サポートの体制から、取引する信用金庫に城南信用金庫を選びました。
愛知県で小売業を営んでいるケースの選びかた
| 所在 | 愛知県名古屋市 |
| 業種 | 小売業 |
| 業歴 | 2年目 |
まずグーグルマップで近隣の信用金庫を調べたところ、車で15分圏内に愛知信用金庫、岡崎信用金庫、岐阜信用金庫の3つが候補にあがりました。
| 単位:百万 | 愛知信金 | 岡崎信金 | 岐阜信金 |
|---|---|---|---|
| 預金積金 | 283,788 | 3,625,934 | 2,659,803 |
| 貸出金 | 138,926 | 1,782,332 | 1,500,847 |
| 預貸率 | 48.9% | 49.1% | 56.4% |
| 中小企業向け 貸出残高 | 129,760 | 1,759,252 | 1,348,889 |
| 中小企業向け 貸出先数 | 6,932件 | 57,352件 | 62,674件 |
預貸率や貸出先数を見る限り、岐阜信用金庫が気になります。
次にディスクロージャーでそれぞれの信金の本業サポート体制を確認。ここでもビジネスマッチングやコンサルティングサービスに力を入れている岐阜信金が好印象でした。
これらの情報をふまえ、実際の店舗や周りの声を聞きながら取引する信用金庫を選びましょう。
STEP3:選んだ信用金庫へ電話をして口座を作る


STEP3では信用金庫の口座作成について解説します。
ポイントはいきなり窓口に行かず、必ず電話をすることです。
いきなり信用金庫の窓口に行ってはいけない理由
銀行や信用金庫で口座を作る場合、まず窓口に行く人が多いと思いますが、これは間違いです。
- 窓口は役所のような場所
- 口座開設が厳格化されている
- 担当者がつかないリスク
窓口は役所のような場所
窓口は預金・振込・届出などの一般業務に追われています。特に新規口座開設などのノルマは無いことがほとんどで、事業用口座の相談に来られても「余計な仕事が増えた」と思われてしまう可能性まであります。
また不慣れな職員も多く、時間がかかります。さらに、1度で完結しないなどあまり効率的ではありません。
口座開設が厳格化されている
反社チェック・不正防止等の観点から、飛び込みでの口座開設は断られるケースが非常に多いのが現状です。窓口で相談した場合、信用金庫の基準に少しでも適合しなければ、有無を言わさず断られてしまいます。
営業担当者がつかないリスク
仮に窓口で口座開設できたとしても、営業担当者がつかないリスクがあります。



来店するお客さん=営業担当は不要という認識を持たれてしまう可能性があります。
営業担当者がつかないと、事務所に訪問して手続きをしてもらったり、ちょっとした疑問や補助金・融資制度についても気軽に相談できる貴重な機会を失いかねません。
信用金庫へ電話で相談するメリット
窓口では難しい口座開設ですが、たった1本の電話で全て解決します。
- 担当者が紹介される
- 窓口に行かずスムーズな対応
- 前向きに話を聞いてくれる
電話で口座開設の相談をすると、基本的に地域の営業担当者が紹介されます。
さらに事前に電話で話しておくことで、必要な書類などの案内もスムーズに行われるので安心です。
信用金庫への具体的な電話のしかた
信金への具体的な電話のしかたや伝える内容は以下のとおり。
「はじめまして。◯◯(住所)で事業をしている◯◯と申します。
事業用口座の開設について相談したく、お電話しました。」
「地域の担当者がいれば1度会って話を聞きたいのですが、、、」
電話が担当者に変わったら、「地元で長く付き合える金融機関を探しています」や「今後融資などの相談もしたいです」と前向きな言葉で担当者の温度感を上げましょう。
初めての面談は店舗でもあなたの事務所でも構いません。必要な書類を確認して面談に進みましょう。
信用金庫との関係は最初の担当者で9割決まる
最初の担当者に良い印象を与えることができれば、その評価は次の担当者にも伝わり、さらに信金との関係性にも大きく影響します。



前任から「〇〇さんは信頼できる」と引継ぎを受けると、次の担当者はそれだけで最初の印象が良くなります。
どのように関係性を構築していくかは、今後更新予定の記事も参考にしてみてください。
あなたに合う信用金庫の選びかたまとめ


信用金庫はどこも同じように見えますが、実際には「本業支援」「融資姿勢」「店舗の雰囲気」「地域での評判」など、カラーは大きく異なります。
だからこそ、あなたの事業に合う信用金庫を選べるかどうかが、今後の相談のしやすさ、融資の通りやすさ、事業の成長スピードに直結します。
信用金庫の選びかた(おさらい)
STEP1:口座開設できる信金を絞り込む
・営業エリアを確認
・事務所から車で15〜25分圏内にある支店を候補にする
STEP2:候補の中から4つの視点で比較する
・本業サポートの積極性
・融資に対する姿勢
・店舗(支店)の雰囲気
・地域の評判
STEP3:いきなり窓口へ行かず、必ず電話で相談する
・担当者とつながることで一気に話がスムーズに
・必要書類や流れの案内も正確
・関係構築がスタートするのはここから
今やるべき最初の1歩
Googleマップを開いて、事務所から車で15〜25分以内の信用金庫を3つピックアップ
これだけで、最初のステップは完了します。
小さな行動ですが、ここからあなたの事業を支えてくれる金融パートナーとの良い出会いが始まります。
最後に
このページでは「選び方のポイント」を解説していますが、特定の信用金庫の推奨や斡旋・優劣をつけることを目的とした内容ではありません。
また、各信用金庫の状況・取扱方針・支店対応・審査姿勢は時期や地域によって大きく異なります。
最終的な判断や取引先選定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。



コメント